ゼクス第10弾「真紅の戦乙女」のプロローグ(黒崎神門Ver.)が公開!

黒崎神門

ゼクス公式サイトにて

ゼクス第10弾 真紅の戦乙女のプロローグ(黒崎神門Ver.)

が公開されました!

 

本棚が立ち並んだ小綺麗な部屋に、電話が鳴り響く。
理知的な表情の若い男が、コール1回目で受話器を取った。

「はい、こちら自衛隊北九州方面隊」

20代前半くらいに見えるその男は、書類の束に囲まれながら、気怠そうな声を絞り出す。
代理とはいえ、責任者の部屋へ直電を寄越してくる相手の想像はついていた。

『俺だ。ちょっといいか』
「はあ……やはり軍師殿ですか。今回はどのような厄介事の連絡です?」

黒崎神門はまるで人ごとのように淡々と要件を告げ始めた。

『そう遠くないうちに緑の世界のホウライが遠征してくる』
「これまた骨が折れそうですね」

ホウライは緑の世界の主力種族。
北海道・東北地方を拠点としているため、ここ九州で見かけることは滅多にない。
しかし、洗練された武術は赤の世界の主力・ブレイバーにも決して引けを取らないという。

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『いや、自衛隊は干渉するな。高千穂は……宮崎は奴らに与えてやれ』
「どういうことです? 多数の戦力が軍師殿に取られてますから、
正面からやり合っては損耗激しいことは間違いありませんが」
『緑の世界に黒の世界攻略を手伝わせる交渉をしてきた。信長の尻拭いついでにな。
宮崎と引き換えに、北海道と東北北部が我々のものとなることも内々に決定した』
「なっ……軍師殿はいったい何を考えているんです!」

個人の判断で一地域がやりとりされようとしている。
神門の意見や主張には度々驚かされてきたが、もはや常識では計り知れない。
男は海よりも深いため息をついた。

「自衛隊北九州方面隊最高責任者の命令は絶対です。
……それが首都東京の奪還につながるのですね?」
『そういうことだ』
「分かりました」
『もうひとつ。間もなく青の世界と緑の世界のゼクス使いが北九州へ入る。
留守番だけというのも暇だろう? そいつらの相手でもしておけ』

決定事項のみが伝えられ、電話は切られた。
一呼吸置き、男は軽装の鎧を纏った女性が背後へ控えていることに気づく。

「そこにいましたか。話は聞いていましたね?」
「高千穂は赤の世界のブラックポイントにほど近い土地です。
他勢力へ引き渡してしまうのは、あまりにリスクが高いと思いますが……」
「……いや。交換材料となった東北北部も、緑の世界のブラックポイントと近い。
軍師殿には我々の予測も及ばぬような、最善の策があるのでしょう」

男は神門のことをよく知っていた。
だからこそ、苦々しい表情を浮かべた。

「それが聡明たる出雲の下した判断であれば、私もまた従いましょう。
では、さっそく行って参ります」
「頼みます。ジャンヌ・ダルク」

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